3年前、当時22歳だったぼくは「八丈島」という島に一人旅にいくことにした。
民宿での出会い
そのときにお世話になったのが「銀河荘」という民宿で、八丈島の山奥の道なき道を進んだところにありまして、なかなか見つけるのがむずかしい宿で、当然ながら宿泊者はぼく一人だったんだよね。
おけいさんという元気なおばちゃんが一人で運営している民宿だった。あと、ねこが二匹。
というのも、ぼくは当時都会疲れしていて、一人でのんびりしたかったんだよね。だからグーグル検索で3〜4ページ目にある、すこしマイナーチックな民宿を選んだわけだ。
そうしておけいさんと実質「二人暮らし」みたいな3日間を過ごすんだけど、まあそれが楽しくってね。
そこでのスローライフについては今度またくわしく記事に書くんだけどさ、なによりも、おけいさんとのエピソードがほっこりしたから紹介するね。
旅人のノート
一人旅も最終日になって、もう帰らなきゃなって思ったときに、あるノートを発見したんだよね。なんだろう? と思ってひらいてみると、たくさんの感謝のコトバが書いてあった。
しみ「なにこれ?」
おけいさん「旅人さんたちが帰り際に書いてくれるノートだよ」
しみ「おれも書いていい?」
おけいさん「どうぞ〜」
最終日にもなると、おけいさんは自分のおばあちゃんみたいな感じになっていた。
そこで書いたノートがこれ。
おけいハウスには、海を眺められるウッドデッキがあって、朝起きてそこでぼーっとしていると猫たちが寄ってきて、おけいさんがアイスカフェラテをもってきてくれる。そんな幸せな日々を、下手なりにも絵を描くことで表現してみた。
「やりたいことがあるなら、やっちゃえばいいのよ〜。みんなやらないだけよ〜」
おけいさんはそんなようなことを、一歩踏み出せない僕に対して、ずっと言ってくれていたなあ。
アシタバ
でね、帰りはおけいさんが空港まで送ってくれて、別れ際、ハグをした。楽しかった日々や、おけいさんと深夜まで語った夜を思い出して、泣きそうになったのは内緒だ。
「これ、もっていきな!」
そう言っておけいさんが渡してくれたのはアシタバという葉っぱだった。
「この地域でよく採れるんだよ。それは、今朝ウチの裏の山で採れたやつ。天ぷらにしてもマヨネーズで和えてもおいしいんだよ。」
おけいさんが早朝から出かけていた理由がわかった。
丁寧に感謝を伝えて、飛行機に乗った。
飛行機のなかで、アシタバという葉っぱのことについて調べてみた。なんだかすこし気になったからだ。
アシタバとは、「明日葉」と書き、
その意味は「今日、葉を摘んでも明日には芽が出る」というものだった。
ぼくはこれを読んで、こらえきれずに泣いてしまった。
深夜、ぼくがおけいさんに夢を打ち明けたとき、「失敗してもまた起き上がればいいのよ」と言われたから。それはまさに明日葉の意味だった。
「失敗してもいい」そう思えたとき、人は挑戦することに躊躇をしなくなる。
あれからもう3年が経とうとしている。
おけいさんは元気かな?
ぼくは相も変わらず元気にやっています。
だいすきな仲間と一緒に、ときどき無茶をしながら、大きめなリスクを背負いながら、でも、心から楽しいと思ったことにチャレンジしています。
今日、葉を摘んでも明日には芽が出ると聞いたから。