宮古島一人旅で完全に島のトリコになったぼくは、その翌年の夏休み、またどこかに一人旅にいってやろうと思い立ち「竹富島」という島にいくことを決めた。
3年前、22歳のときである。
竹富島
竹富島(たけとみじま)は、沖縄県の八重山諸島にある島である。沖縄県八重山郡竹富町に属している。八重山の中心地である石垣島からは、高速船で約10分程(約6km)の距離にある。
竹富島という島を知らない人のためにすこし説明しておくと、竹富島とは、日本最南端の波照間島やイリオモテヤマネコで有名な西表島とおなじ「八重山諸島」呼ばれるところに位置する小さな島。
マップで見るとこのへん。
もうすこし近づくとこのへん。
行き方としては、石垣島まで飛行機でいって、石垣港の離島ターミナルからフェリーや高速船で竹富島に向かうカタチ。
竹富島は小さな島で、1日もあれば自転車で島を一周できちゃうくらいの、かわいい島。体感的には半日でも回れちゃう感じだった。
ちなみにこれが竹富島の状況。
人口と牧場牛の数がほとんど同じwww
牛がすごい。牛がすごいんだよ。あと、猫も多かったなあ。島の人が優しいからか、猫たちは警戒心がなくてすぐに仲良くなれた記憶がある。
さて、前置きはこのへんにして、ここからが旅の物語の本題である。
民宿を探せ
旅立つ前夜、ぼくは当時勤めていた接骨院で診療を終え、前のめりにパソコンに向かっていた。22時のことである。
院長「どうしたんだ? 明日から休みなのに」
しみ「今日診療中に思い出したんですけど、竹富島の1日目の宿、予約するの忘れてました。」
院長「え?」
そう、ぼくはなぜか2日目と3日目の宿しか取ってなかったのだ。痛恨のミス。アホすぎる。
必死にパソコンで検索し、竹富島の民宿に片っ端から電話をかけるぼくの後ろで後輩スタッフがゲラゲラ笑っている。手伝え。
お盆シーズンだったため、どこも埋まっていて結局宿はとれず、1日目は野宿だという覚悟と不安を抱えながら翌朝空港へと向かうこととなった。
石垣島からフェリー
前述したが、竹富島には空港がないために石垣島からフェリーで向かう。
つまり羽田→那覇→石垣島と飛行機で乗り継いでいき、石垣空港から離島ターミナルまでタクシーで10分かけて向かい、そこからフェリーにて竹富島にいくのだ。
石垣島のタクシーの運転手のおっちゃんが陽気な人で、「この時期は雨が多くてスコールもよく降るんだが、今日からしばらくは快晴みたいだよ。兄ちゃんツイてるね〜♪」とノリノリに話してくれたので
「僕いっつもツイてるんですよ。この強運、分けましょうか?」と言ったら「あいにくオレも強運でな。今日晴れるのは当然だったのかもな。」と笑われた。
そうして離島ターミナルからフェリーに乗り込んだ。ちなみにフェリーは片道600円である。
諦めの悪いぼくはフェリーの待合室にて当日キャンセルの空き枠を狙って民宿に電話をかけまくっていた。そしたらなんと「ちょうどキャンセルが出たので、相部屋でもよければ」とのこと。おもわず待合室で大きな声を出してみんなに見られた。
今でも忘れない、高那旅館さんである。泊めてくれてありがとう。ホラ、やっぱり強運なのだ。
竹富島散策
竹富島についた。
着いてまず思ったのが「島が綺麗だ」ということ。島の地面が白いことに気が付いて、白い砂で出来ていることを確認して驚いた。そしてなによりゴミが少ない。綺麗だ。
これはあとあと知ったのだけど、毎朝島の人たちが自主的に掃除をしているらしい。ぼくが早朝に散歩をしたときも、おばあちゃんが掃き掃除をしている光景を目にした。
島の人が島を大切にしている。素敵な島だな、と温かい気持ちになったのを憶えている。
竹富島をすこし散策。
とにかく道がいい感じすぎる。
郵便局もあった。なんともポストっぽいポストもあった。
たしか、ニライカナイからの手紙という映画の舞台にもなった島なんだよね。
コンドイビーチ
宿泊する民宿に荷物を置いて外へ出る。
島の子供がこちらに向かって「こんにちは〜!」と自然な感じで言ってきて、後ろを向いても誰もいなかったため「あ、おれに言ったのか」と分かりすぐに挨拶をした。
知らない人にもこうやって自然に挨拶ができる島の子供はすごいなあと思ったのと同時に、それを自分に向けられたものだと思わなかった自分を恥じた。島で育った子供の心はホントに綺麗で、こうゆう心の純度みたいなものは保っていたいなあと感じた。
すると後ろから「同じ宿に泊まる人だよね〜? これからサンセットライブがあるんだけど行く〜?」と話しかけられた。おそらく竹富島に慣れている旅人さんだ。
だぶん同じ宿じゃないけれど、バスに乗せてくれるっぽかったので「いきます〜!」といって乗り込んだ。しめしめ。それにしてもみんな話しかけてくれるなあ。この島には人見知りという言葉は存在しないのだと悟った。
そしてコンドイビーチに到着。
どうやら竹富島で一番有名な(綺麗な)ビーチらしい。なんだこの神々しい海の色は、、
しばらく見とれていた。ただ静かにそこにある大きな海のやさしさに感動して、今まで考えていた難しいあれこれをすべて忘れてカラッポのままぼーっとしていた。
ちょうど夕暮れどきで、うすいオレンジが映る水面は東京で忙しく働いていたぼくの心を浄化していった。
サンセットライブ
本日はお盆ということでコンドイビーチでサンセットライブがあるらしい。
島の人たちや観光客が座ってのんびり観ている。
有名な民謡を歌っていたらしいのだが、民謡のうまいヘタを知らないぼくは「沖縄っぽいなあ」と素人みたいな感想を漏らした。
当然ぼくらもおつまみとビールを買って、わいわい話した。まさかの吉祥寺からきた女の子がいて、「パルコ知ってる?」という話で盛り上がったのだが、竹富島とパルコというワードがミスマッチすぎておもしろかった。
その夜は救世主である高那旅館にて相部屋の男性と飲みながらアホな話をしていたら、いつのまにか寝ていた。
朝焼け
二日目の朝。なぜだか5時に目が覚めた。寝ている時間がもったいない!とカラダが感じているのだろう。
散歩でもしようと思い、ボサボサ頭でサンダルを履いて外に出る。
だんだんと島が起きてくる。この1日が始まる予感みたいな空が好きだ。
人口と同じくらいいる牧場牛たちも「もう朝かよ」みたいな顔をしていた。かわいい。てか普通にいるのな。
空の色が変わってくる。
「いい世界だろ?」と言わんばかりの空の色。なにこの色。すごい。と興奮しながら朝焼けのほうに向かって走っていく。
赤みが増してきた。もうすでにぼくは朝5時半のテンションではない。
うおおおおお。その赤色の力強さに圧倒された。そのまま朝焼けに向かって走る。
なんと、走った先には海があった。そのときは「うおおおおお!海!!!奇跡!!!」ってなったんだけど、今おもえば当然のことである。島なんだもん。一方向に突き進んでいれば必ず海にたどり着く。
それにしてもあんなにすごい朝焼けは初めて見た。空が焼けてた。まじで。
ラジオ体操
民宿にもどって他の旅人さんと話す。
「6時から学校でラジオ体操があるらしいよ」ということを聞きつけたぼくは学校へと向かった。
小学校の門。
中学校の門。
なんと繋がっているのである。入り口は同じだ。つまり校庭を共有している。いま流行りのシェア校庭だ。
島のちびっこたちとラジオ体操をする。
オイッチニー サンシー
とてもたのしかった。穏やかな光景。
小学生たちはそのまま民謡の練習みたいなのをしていた。島の子たちの夏休みの朝はこんな感じなのね。
この島には平和が詰まっていた。
シュノーケリング
そんな濃い早朝を過ごしたあとは、仲良くなった人たちとシュノーケリングにいこう!となった。
カントリーロードを流しながら歩きたい道である。きもちいい。
この感じとかめっちゃ好き。
ついたぜ海いいいいい!!
岩場が多くてシュノーケリングのしやすい海を選んでくれたらしい。
さっそく装備を付ける(ふざけてはない)
宮古島のときにシュノーケリングはしたことがあるので、お手のものだった。「足のやつ」と呼んでいたものも、今では「フィン」と呼んでいる。フィン。
海中の景色も綺麗で、最高だった。
水牛
この島の名物と言ったらこれだ。
そう、水牛車である。モッツァレラチーズで有名な水牛である。この島では水牛がこうして小屋みたいなのを引っ張ってくれて島を周りながら案内してくれる。ガイドさんも付いてるんだ。
水牛が可愛すぎる。さわりたい。
寝ている水牛もいた。
さわれた。うれしい。
水牛車に乗ろうかと考えたんだけど「いや、歩くの遅すぎだろ」となってやめた。時間がもったいなかった(水牛ごめん)。のんびり周りたい人はぜひ。
ゲストハウスジュテーム宿泊
二日目のゲストハウスにチェックイン。
「ジュテーム」というところだ。
アジアン風なゲストハウス。部屋はドミトリー(ベッドスペースひとつが自分の部屋)である。宿泊費ももちろん安い。自転車も1日1000円で借りれる。
夜はランタンの明かりでいい感じの雰囲気になる。
外にはハンモックもある。最高。
漫画やDVD、ゲームなんかもたくさんあった。
さっそくそこのゲストハウスの人たちや、この島にきてから仲良くなった人たちも混ぜて西浅橋という橋にきた。ここは絶景夕日スポットらしい。
この日はくもりだったため、夕日は見れなかった。残念。
みんなでごはんを食べに行く。もずく酢とフーチャンプルーが美味すぎて唸った。
宿に戻りうだうだしながら話したりゲームしたり自由な時間を過ごす。このラフさとほったらかしの雰囲気が良い。
一人旅で来たのに、気づいたらたくさんの人に囲まれながら旅の時間を過ごすことになっている現象をいつも不思議におもうんだけど、結局、みんな人が好きなんだろうなあ。と勝手に結論付けた。
ゆるい。「ちょっと星とか見てくる」といって散歩に出る。
夜の西浅橋にいった。橋について寝転がろうとおもって地面をみたらデカイゴキブリみたいなのが無数にいて、周りにだれもいないのにめちゃめちゃ大きな声を出した
え!!なにこれ!!!と完全にひるんだ僕はダッシュでゲストハウスに戻る。星空どころじゃない。
「なんか黒いゴキブリみたいのめっちゃいた!めっちゃいた!!」と興奮気味に言うぼくに対して島の住人が「それフナムシだよ」と答えた。フナムシ・・?
よく海とかの岩場にいるやつである。竹富島のはデカすぎてフナムシだとは思わなかった。フナムシを知らない人は鳥肌が立つのを覚悟で検索してみてほしい。
そんなこんなで騒いでいたら同じゲストハウスに泊まっていたドイツ人親子の子どもアレクサンダーに「 I’m sleeping !!! 」と怒られた。
「ごめんなアレク。静かにしてるからね。」と言いながらまた飲みなおす。最高である。
こうして二日目を終えた。良い夜だった。またこよう竹富島。