あれは3年前のことである。
ぼくがまだ専門学校に通っていて国試を控えた3年生になった夏、21歳のぼくは宮古島へ一人旅にいくことを決めた。
はじめに
これから一人旅にいこうと思っている人や
宮古島へいこうと思っている人の参考になればと
おもって書きました。
行く理由
まずぼくが一人旅に行こうとおもった理由から話そう。
当時なんとなく過ぎていく毎日がつまらなくなって、なにか刺激がほしくて、旅人の高橋歩さんの本を読み始めた。
そこでこの本に出会った。
衝撃だった。今までの自分の人生がひっくり返ったような感覚があった。
「人生は有限だ。やりたくないことやってる暇はない。」本の中のこの言葉を見て、やりたいことを今すぐやろうと思い立ち、一人旅を決めた。
バックパック
バックパックひとつで旅にでるバックパッカーというものに憧れを抱いていたぼくは、当時使っていたグレゴリーのリュックで行くことにした。
いま思えばリュックも小さかったのだが、なにより荷物を持ちすぎた。初めての一人旅で心配だったからだ。
結局リュックともう一つドラムバックみたいなものを片手に持ち、バックパッカーではなくただの小旅行者と化した。
行き先
行き先はいろいろ悩んだ末に宮古島に決めた。
いろいろな要素があったが、決め手となったのは宮古島の前浜ビーチが日本のベストビーチトップ10で第1位に輝いていたからである。
つまり日本で一番綺麗な海があるのだ。
ちなみに場所はここ。赤いピンのとこ。
沖縄本島よりもっと下にあって
ほとんど台湾に近いところにある。
直行便でいくか、那覇で乗り換えていく。
航空券と宿の予約だけして
あとはノープランという旅が始まった。
空港に到着
窓からの景色にテンションが上がる。
宮古島が見える!
空港に到着。とりあえず大きな道路へ出る。
ここである問題に気づく。
ゲストハウスの場所を把握していない。
まあそんな問題なんて序の口であろう。
なんてったってハプニング満載で楽しいのが
一人旅ってやつだ。オモシロくなってきた。
こちらには強い味方、グーグルアースがある。
予約してあったゲストハウスの住所を入力し、
現在地からのルートを検索する。たやすい。
…5km、徒歩1時間!?
着いていきなり1時間歩くのはさすがにきつい。
しかも信じられないくらいの炎天下だ。
そういえば初めての沖縄気候を体験している。
ジリジリと暑くもカラッとしていて気持ちが良い。
しかしせっかく着いたなら早く海とかを見たい。貴重な1時間を無駄にしたくはない。。
初めての一人でヒッチハイク
ぼくはヒッチハイクをすることにした。
以前友人と二人でしたことはあったが
一人でのヒッチハイクは初めてだった。
サトウキビがすごい。
前回のヒッチハイクは一緒にいたのが女の子であったため勝算があった。女の子がいれば乗せてくれる率はグッとあがる。
しかし今回はヒッチハイク童貞な青年一人だ。だれがヒッチハイク童貞や。それにしてもサトウキビがすごい。
ここで決行することにした。
意外と車通りが多かったからだ。
我ながら道のチョイスが聡明である。
親指を立てて仁王立ちし少し口角を上げて笑う。
これほどまでに優しそうな好青年がヒッチハイクをしている図があるだろうか。それはそれは完璧であった。
畑はひろく、空は青く、車は停まらない。
待て待て。そんなはずはない。
ここは人の優しさが溢れる場所、オキナワだぞ?
そろそろサトウキビも見飽きてきた。
最初は見ただけであんなにテンションが上がっていたのに。ビギナーズサトウキビってやつだ。
そしてそれはぼくの前を通りすぎた車が
10台を過ぎた頃だった。
一台の車が目の前で停まった。
神様かとおもった。いや、神様だった。
ヒッチハイク常習犯となった今から思えば、
10台というのはなかなか早かったなぁとおもう。
やっぱりオキナワの人は優しい。
名をイケマさんと言った。
「こんなボロっちい車で悪いから止まるか迷ったんだけどさ、お兄さん手挙げてくれてたから。」
という言葉を目的地につくまでに7回は言っていた。さすがに途中から反応に困った。でもとてもありがたく、感謝をたくさん伝えて別れた。
ゲストハウス ヒダマリ(Hidamari)到着
お世話になるゲストハウスに到着した。
ゲストハウスとは
ゲストハウスとは民宿のようなもので、
安く泊まれる簡易宿泊施設みたいなものだ。
だいたいがトイレやシャワー、キッチンなどが共用になっており、部屋は個室やドミトリーだったりもする。長期滞在が可能なところも多い。
ゲストハウスの醍醐味は、オーナーさんと仲良くなって島の情報を聞けたり、おなじ一人旅で来ているひとも多いため、旅人同士がフランクな感じで繋がれたりもする。
ドミトリーとは
ドミトリーとは二段ベッドなどが部屋に置いてあり、そのベッドスペースが自分の部屋になっていることを言う。
なので自分のベッドに荷物を置いて、そこで寝る。なんとも旅人っぽい。だいたいコンセント付き。
貴重品の管理と盗難には注意。
ゲストハウスひだまり
ぼくが泊まったゲストハウスの紹介。
明るい外観。玄関もかわいい。
中は涼しげな感じ。
ゴロゴロできそう。
ギターや三味線がおいてあり、泊まった旅人さんがいきなり弾いたりする。外にいると心地よい音がゲストハウスから聴こえてきたりする。
キッチンはもちろん共用。みんな食材を買ってきて名前を書いて冷蔵庫に入れておく。で、自分で調理して食べる。シェアハウスみたい。
てるてる坊主。なんか癒された。
非常に良いゲストハウスだった。
のちのち語るけど、だいすきな場所になった。
しかも3泊で4500円という安さ。
夏のお盆シーズンなのに。すげえ。
一度ゲストハウスに泊まると、
旅行の敷居がめちゃくちゃ下がる。
今までは航空券&ホテルで考えていたけど、一人でくるならゲストハウスでいいやってなると、ほぼ宿泊費はないようなもので計算できる。
彼女とかとくるならホテルがいいかもだけど、一人なら断然ゲストハウスをオススメする。友達たくさんできるし。
ゲストハウス ヒダマリ→ 宮古島【ゲストハウス・ヒダマリ】へ~西里商店街近くの宿~
宮古島をぶらり観光
自転車をレンタルしてぶらぶら宮古市内を周る。
のどかな町並みである。
石造りの家が多い。潮風が吹くからかな?(違ったらごめん)
パイナガマビーチ
自転車を走らせていると、ふと景色がひらけた。
海だ。初めての沖縄の海。初めての宮古島の海。
テンションは最高潮だった。
一人なのに大きな声を出した。
思わず裸足になって海に走った。
貝殻がたくさん落ちていて
「いって!」と叫んで
すぐにビーサンを買いに行った。
と同時に、誰かとこの感動を共有したいという気持ちが大きく芽生えた。
綺麗すぎる。。
こんな綺麗な海みたことない。。
しかし不思議におもったことがある。
写真にある通り、人がひとりもいなかったのだ。
あとから聞いたが、このビーチは全然サブ的なビーチらしい。まじかよ。これでサブ。。
どんだけビーチ持て余しとんねん。
学校へ
ぼくは今回の旅でひとつやろうと
決めていたことがあった。
それは島の子どもたちとサッカーをすること。
サッカーというものを通じて、知らない土地で初めましての人と仲良くなる。それがしたかった。
そのために学校を訪れた。
なんだか懐かしいような雰囲気。
夏休みだからか、昼間から部活をしているようだ。
体育館からキュッキュというシューズの音と、校舎からはブラスバンドの音が聞こえてくる。
グラウンドは使われていなかった。好都合だ。
さっそく持ってきたボールを出し、サッカーをする。
子どもが通りかかったら
「やあ少年。サッカーしようぜ」これで決まりだ。
しかし一向に少年は現れない。
それどころかブラスバンドの女の子たちがこちらを見ながらなにかヒソヒソと話している。ぼくに好意があるのだろうか。
もちろんそんなはずもなく、奥から先生らしき人が歩いてきた。
これはヤバい!と思ったぼくは、すぐさまチャリに乗り、逃げた。
あのときほど強くペダルを踏んだ瞬間はない。
いま思えば当然だ。見知らぬ私服の大人が、自分たちの校庭でサッカーをしながらキョロキョロしているのだ。怪しすぎる。
ふつうの観光客は島の中学校でサッカーはしない。しかしこうして振り返ってみると逃げるまではしなくてよかった。
カフェ
たくさんのオシャレなカフェがあった。
どれも入りたかったが、
今回は激選してひとつに絞った。
Book cafe BREATHE
ここである。
「あるがままに理解して役立てれば人生は甘い」
この深いんだか深くないんだかわからないキャッチフレーズに心惹かれたからだ。
広々とした店内。カウンターもある。
昼間っから寝てる人や、お酒を飲んでる人もいた。
本がたくさん置いてあり、勝手に自由に読んでいいみたいだった。
ここでひとつ疑問が湧いた。
店を入った瞬間から、店員が完全にスルーなのだ。
店を入ったときもこちらを見ようともせず、店の中をぐるぐる見ているあいだも放置だった。
しかしこの「放置」がすごく心地よかった。
なんというか、何をしてもいい自由な感じがあった。
だからこんなにもゆるい空間が出来上がるのか。
放置という接客方法もあるのだな。と学んだ。
メニューが可愛い。頼もうと思ったら店員と目があった。今まで放置していたのに、なぜだ。
季節の野菜カレーとキッシュとカフェラテ。
この上ない幸せを感じた。
出会い
ゲストハウスに戻ると、
何人か宿泊者がいたので挨拶をした。
しみん
寝ている人もいれば読書をしている人もいた。奥で三味線弾いている人もいる。ゆるい。
そこには平和が詰まっていた。
「どこから来たのー?」
「東京都の田舎のほうです」
「お、じゃあ市民なんだね!」
「…はい」
「名前なんていうのー?」
「しみっていいます」
「え、市民?」
「いや、”しみ” です。」
「しみんね!オッケー!」
「ちょ、おま…」
あだ名が決まった。
「しみんソバ食うー?」といって作ってくれた。
当時実家暮らしで料理をしなかったぼくは、サラッとソバを作る人をみて「かっけえ」とおもったのだが、いま思えば普通である。
BAR SOIL
このゲストハウスの隣にはBARがある。
ゲストハウスのヘルパーさん(住み込みでバイトしている人たち)がバーテンダーとしてBARを開いてくれる。
ゲストハウス自体は22時で消灯なので、それ以降はみんなこのBARに流れてきてお酒を飲む。そこで旅人同士で仲良くなるわけだ。
ぼくもこの日BARでいろいろな人と仲良くなった。
同じ柔道整復師をしている京都の人、
大阪から一人旅できた同い年の女の子、
ぼくの実家の近くの福生に住んでいる人、
とてもエロいお姉さん、
viviのスタイリストやってたけど
こっちに移り住んでヘルパーやってる人。
他にもたくさんの人と仲良くなれた。
なんとも良い夜だった。
スノーさんという人に
「しみん車運転できる?」
「できますけど」
「じゃあ明日からおれの車タダであげるのと、宮古島のいいところたくさん案内してあげるから、その代わり運転手頼むな」
「え、案内してもらえるんですか!?やった〜」
清水はレンタカーを手に入れた。
(ドラクエのBGM)
その人は朝から酒が飲みたいだけらしい。なせだかぼくのことをとても気に入ってくれた。
そんなこんなで長い長い一日目を終えた。
2日目に続く ↓